good by juvenile

それでも青春は続く

607文字だけ書く中身の無いエッセイ

 Macの前に座ってキーボードを叩いている。誰かに見せびらかしたい新しい写真を撮ってきわたわけでもないし、すこし可笑しい体験をしたわけでもない。ただ朝、目が覚めて、あるいは真夜中に知り合いのような知り合いじゃないような人たちと喋っていた瞬間に、「なにかを書いておきたいな」と思った。ここ数日で何回もそう感じるのだから、これは天啓なのかしら、なんて思ったりしてキーボードを叩いてみている。しかし、だからといって別に特別伝えたいことがあるわけではないのも事実でありただこの書く、あるいは打つ、という行為に飢えていたのか、おおヨシヨシ、可哀想に、いっぱい打たせてあげあるからねと、自分に甘く、どれくらい甘いかというとクイニーアマンにメープルシロップをかけたような甘さらしいぞ。文章として成り立っていない、起承転結がない、これじゃあ校正で引っかかるなあ。ねえ、担当さん?作家じゃないけど。担当もいないけど。作家じゃないから。ここまで412文字。ようし、500字までは書くぞ。・・・とナカテンをいれて文字を稼いだりして、小学生の作文みたい。そうそう作文といえば、一行目は台詞から始まらないといけない、って小学校で習った。それ以来作文の一行目は台詞を貫いてきたけど、それって誰の入れ知恵なのでしょうか。指導要綱に書いてあるのかな。絵の端に太陽を描くのもお決まりなのかな。あっ、あれはダメな表現っていつか言われたな・・・なんて。ここまで607文字なのでおわりです。

Red Bull Air Race Chiba 2015を観戦してきた

 5月離れした日差しの下、幕張海浜公園で開催されたRed Bull Air Race Chiba 2015を観戦してきた。熱い、そして砂浜の広さと人の多さにただ彷徨うしかない。f:id:akobe538:20150524163743j:plain

 アツアツに熱された砂浜の上に腰掛けて巨大なポールとヨットを眺めるだけでもうお腹いっぱいになってくる。海は良い。そこにあるだけで、人の心を飲み込んでいく強さがある。海は良いものだ。

 カメラを構えているとあっという間に目の前をレース機が過ぎていってしまう。ほんとうに一瞬だ。カメラ構えてる場合じゃねえ!肉眼で捉えて脳に焼き付けたほうが100倍楽しい!ってことになって(して)、瞬きしないで観戦していた。ヤバイ。

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 遠くから低い振動と共にやってくる小さいシルエット。生きてるかのように、身を翻してポールをすり抜けていく。羽を垂直にして飛ぶ。もとに戻る。垂直になる。めまぐるしい。

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 何気に観客席に接近してくるRedBullのヘリコプター。でかい。ヘリコプターでかい。(アホ)

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 千葉市消防局のレスキューヘリが公開演習をしてくれた。海に落ちた救難者を引き上げる、という内容だったが、公式の実況が「あの救難者はモブなのか?モブなのか?大丈夫か?・・・いやモブではないようです!」としきりに騒いでいてちょっと可笑しかった。本当はなんて言っていてんだろうか。

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www.redbullairrace.com

たった5ステップで360°撮影された動画をiPhone上で体感する方法

 先日、知人から教えてもらったアプリが腰抜かすほど楽しかったのでこっそり紹介する。その名も『360cam』。360度撮影ができるタコみたいな風貌のビデオカメラがあるらしいのですが、それで撮影された動画のサンプルがみれるとかう、そういうアプリ。

360cam

360cam

  • GIROPTIC SAS
  • 写真/ビデオ
  • 無料

  何が面白いかって言うと、iPhone上で動画を見るわけですが、iPhoneを向けた方向の映像が見れる。上下左右、ぐるぐる回転しながら360度の動画をみれるわけです。動かせる動画ならYouTubeでも見れちゃうわけだけど(これもすごいな)、スマホをかざした方向に動かせるっていう『体験』が笑っちゃうほどに楽しい。単純に楽しい。

  超簡単な体感方法

①上記アプリをインストールする

②アプリを起動したら『View Videos』をタップ

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③『VIEW IT』をタップ

 どの動画でもいいけど。ここでは一番上のジェットコースター動画。個人的にはニューヨークの散策動画が楽しかった。

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④再生が始まったら右下の『*』をタップ

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⑤あとはiPhoneをもって動かしてみるだけ

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この人達どんな顔してんだ・・・?

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『『めっちゃ楽しそうやんけ!!!』』

 

 みたいな。いや、楽しいんですよ、やってみると、半日くらい部屋でグルグル回ってられるレベル。いや、ほんとに。 ほんとなんだってば!

 

YouTubeでも観れるぞ360°動画(Chrome推奨)

  教えてもらうまで全然気づかなかったけど、YouTubeが4K動画どころか360°撮影された動画まで対応してた。ストリートビューよろしくマウスひとつでグリグリ動かせるし、未来感しかない。あーやばい、これ楽しいやつだ。 

  こういうの観てると、自分も撮影してみたいな〜、360度撮影できるカメラ欲しいな〜って思う。だって、これリュックとかにつけて観光地に行けば全方位の記録ができちゃうわけで、それって最強の旅日記じゃん。360camのカメラ本体は$499ってことは約6万円なわけで、買えなくないっていうかメッチャ安いな、みたいなことをグルグル考えてしまっており、まだ結論は出ずにいるわけで。。。

 

ソニーとドローンと爽やかな空

f:id:akobe538:20150505231924j:plain 銀座のソニービルで開催中の林明輝 作品展へ。駅を降りた瞬間に目に入るソニービルは隙がない感じの凛々しさがあります。

 6Fの会場に辿り着くまで、ショールームを通って行くのですが、ソニー製品が勢揃いでいちいち触ってしまいます。ジオラマを取り囲むように試写用のカメラが配置してあり、なるほど、これは欲しいな、とソニー様の意図に乗せられていました。

 作品展はドローンで空撮をした風景写真と動画の展示。これからはもっとドローンが普及して、風景写真のスタンダード機材になっていくのでしょう。規制が面倒にならないといいけど。

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→地面から上を見上げると雲がものすごい速さで流れていました。5月の日差しは熱く、風は冷ややか。総じて爽やかです。

 

あしかがフラワーパークに行ってきた

今週のお題ゴールデンウィーク2015」

 あしかがフラワーパークに行ってきた。ここの藤棚が写った電車の中吊り広告をみたとき「あ、いってみたいな。写真とか撮ったら楽しいかもな。」とぼんやり考えていたらいつの間にか足利フラワーパークを訪ねる運びになっていた。同じようなことを考えた賛同者がわらわら集まるという、あらゆる偶然が重なった結果ではあるが、これを「必然」といっても過言ではない偶然具合であった。広告のチカラはすごい。

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 お花畑なんて、と偏見めいたことを考えなかったわけではないが、実際に旬を迎えた藤の花のしたを歩いてみると、そんなチンケなプライド(?)は消し飛んだ。楽しい。

 一本の幹から延々枝が分岐し、無数の(ほんとうに無数にある)藤の花が千羽鶴のように咲いているのだ。植物の神秘すら感じるほどだ。

 

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 めちゃくちゃ広い園内には沢山の草花が植わっていて、虫食いも無く、ほんとうにきちんと育てられている。炎天下にもかかわらず、何人ものスタッフが黙々と手入れをしていて職人だな、と思った。そして感謝の気持でいっぱいになった。手を土だらけにして働く人はやっぱり偉大だと思う。

 

www.ashikaga.co.jp

 

書を捨てよ町へ出ようを読み始めただけ

 寺山修司のエッセイ集「書を捨てよ、町へ出よう」を自宅の本の山から発掘した。昔買ってからずっとこの山の中に埋もれていたのだ。こんな名作(なのだと思う)を放っておいた自分の気が知れない。たぶん名作なのだろうから、ちょいと読んみよう、と今日読み始めた。

 第二章の見出しが「君もヤクザになれる」である。刺激的である。その中にパチンコの話しがあって、「(パチンコの)タマが小さいというのは男性的でない」「だが、俺達のは連発ですからね。 ・・・ これは中々男性的ですよ。」という会話が出てくる。この話のオチがどうであれ、物は言いよう言うは易し言ったもの勝ちだな、と思った。

 初めてパチンコをした日のことを書こう、そう思ったけどやめた。大して面白い話ではないし、あまり触れないほうが良い気がしたからである。くわばらくわばら。

 

書を捨てよ、町へ出よう (角川文庫)

書を捨てよ、町へ出よう (角川文庫)

 

 

 

『恋空』は今世紀最大の奇書である

 『恋空』ケータイ小説と呼ばれるそれはとてつもなく難解な作品となっている。これが発表された当時(2005年頃)はその稚拙な文体、不安定な背景設定、妙に空いた行間などあらゆる角度から「読書趣味」の人たちによって猛烈なバッシングを受けていた。しかし、改めて、しかも最後まで読んでみると意外に、というか驚くほど面白いのである。中盤から終盤にかけて文体も上達していき、一気に読みやすくなる。そして内容も普遍的なすれ違い物語であり、少女漫画に一度でも没頭したことのある人間なら納得のものになっている。なぜ、本作がここまでバッシングを受けてしまったのか?その答えは簡単で、読者の大半が序盤で挫折したからに他ならない。

立ちはだかる巨大なウォール 

恋空の序盤は主人公の美嘉とヒロの出会いから別れが描かれている。・・・のであるが、ここが読みにくい。

 

「あ~!!超お腹減ったしっ♪♪」

→伝説の書き出し

 

「こんちわ~!俺の名前はノゾム。隣のクラスなんだけど~知ってる?」

→唐突に登場するノゾム(しかも脇役)

 

「だってあたしイケメン大好きだからぁ!ウフッ♪」

→ウフッ♪じゃねえよ

 

これだけの怪文がわずか4ページの間で登場する。台詞のあとに音符がついてしまうのである。ギョッとしてしまう。さらに

 

♪プルルルルル♪



部屋に鳴り響く着信音。

(前編 p5) 

 どうしてもシンドイのがこの着信音の描写。なぜ鳴らすのか、なぜ音符をつけるのか、これは本当に小説なのか?そう思わせるに十分な冒頭シーン。この壁を前に多くの読書家が脱落していったに違いない。恋空の壁は大きく高く、来るものを拒んでいく。特にある種の読書家たちを拒絶している。

 

恋空は小説なのか?

 恋空はケータイ小説に分類されるが(さきがけ?)、僕はこれはエッセイであり手記なのだと思って読むことにした。

「事実を元にしたフィクション」という触れ込みから、主人公・美嘉が語った体験談を物語風に再構成したエッセイを想起したのである。そう考えはじめると、美嘉やヒロ、その他の登場人物たちの言動をすんなりと受け入れることが出来た。エッセイなら「この時、彼女たちはこう思っていたのだからそれが例え非合理的な言動であったとしてもそれは仕様のない事だ」と割りきって読むことができる。しかも、どうやら事実らしいという点が強化され、リアルさが沸き立ってくるのである。馬鹿だけどマジな彼らの言動は理屈通り越して、我々を動揺させ、まじまじと突き刺さってくる。「人のマジに感染する(by濱野智史)」のである。

 エッセイだから背景描写の曖昧さとか、唐突に出てくる具体的な描写(テストの点数が27点などと羅列されたり、バイトの募集要項がそっくり再現されたり、駆け落ちの際に正露丸を手に取ったりすること)にも違和感がない。おお、自己暗示。みんなエッセイとして読みましょう。

 

エッセイからドラマへ

 エッセイとして、手記として読み進め、いよいよやってくる終盤。ヒロは癌で死んでいまうが、死後、彼のノートが発見される。ノートの中身は闘病生活を綴った手記である。ベタである。しかもその内容は美嘉のことを綴っている。彼女のことが心配だ、彼女が会いに来てくれて嬉しい、など。悔しいが、涙腺がゆるむ。

  死後に発見される手記で相手が自分を想っていたことが全てわかるという構図が出た瞬間に自動的に感動するよう、我々は調教されているのだ。そういう風になっているのだと、否が応でも理解させられた。悔しい。

 続け様、全編を通した回想が挟まれる。僕の脳内ではOPが流れている(最終話の終盤で初期OPが流れるアレ)。さっきまであんなにショボイ文体だったのに、なんで最後だけドラマやってるの!なんで!ひとは動揺すると脆い。

 

恋空は風立ちぬ

 恋空のテーマについて話す。最後まで読んでみるとわかるが、「生きる」がテーマである。そう、風立ちぬと同じなのです。

 

そして川へ飛び込んでしまおうと足に力を入れたその瞬間、
二羽の鳥が目の前を横切り、
それに驚き草の上にしりもちをついた。



しりもちをついたまま、空を見上げる。



さっき目の前を横切ったあの鳥は
どこにもいない。



もくもくと流れる
白い雲。




その瞬間、
雲間から太陽がピカッと顔を出した。



目を閉じてしまいたくなるくらいの眩しさ。



でもね、
美嘉は見たんだ。




雲間から覗いたその眩しい太陽の向こうに、
赤ちゃんを抱いたヒロの姿を…。




【美嘉…
おまえは生きろ!】





幻聴かもしれない。
だけどね、
そう聞こえたの。



二人はね、
すごく幸せそうに笑っていたんだよ。

 (後編 p300)

とてつもなく風立ちぬ。恋人が死ぬし、空を見上げるし、夢(妄想)の中で「君は生きて」と諭されるし。ユーミンの「ひこうき雲」が聞こえてくるようです。

 

最後に

 「恋空」は面白いです。ただ、めちゃくちゃ長いです。しかも序盤のハードルが極めて高いです。怪文書です。しかし、それを乗り越えた先にはスリルとケレンに溢れたエッセイが待っています。そして怒涛の回想と語りで落としに来ます。怪文書→エッセイ→小説と変化していく奇書です。でも、とても抽象的に書かれた本作はあらゆる記憶を呼び起こすことでしょう。どうか馬鹿にしないで。クズで不器用な彼女たちのマジを感じてあげてください。

 

ここで読めます

 魔法のiらんど

 切ナイ恋物語 恋空(前編)

 切ナイ恋物語 恋空(後編)