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それでも青春は続く

建築家・伊東豊雄氏のこれからの話


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Ustream.tv: ユーザー JDP_FDC: 「3.11以降の建築を考える」 伊東豊雄氏, 「3.11以降の建築を考える」 伊東豊雄氏. デザイン...

 ここで話されているように、「プライバシーの確保が現代建築の絶対条件になってしまった」という指摘が非常に面白いと思いました。確かに、近所の、ともすれば隣家の人のことを全然知らないな、と。

 震災以降に「絆」がクローズアップされてきたけれども、「絆」なんていう堅苦しくて重苦しい関係性までは必要ないと思っています。それでも、地域における自分の立ち位置というのはあったほうがいい。地域と自分を完全に切り離すのではなく、地域と”なんとなく”関係性を感じていられる程度の、ゆるいつながりは大事だとも思うのです。

 先日のニュースで高校生が体罰を苦に自殺したと聞きました。当然、様々な問題が介在していたのでしょうが、僕があのニュースを聞いた時、「学校(部活動)と家庭以外にコミュニティを持っていなかったのではないか?」という風に感じました。

 スポーツ推薦を得なければ大学に行けないという思い込みが、彼を追い詰めてしまったのではないかと。学校と家庭では人間関係が凝り固まってしまっています。仮に、交友関係に大学生がいれば、様々な役職につく社会人がいれば、彼の”思い込み”から早く開放されたのかもしれません。最近は「町づくり」が何かと話題になりますが、これからはどのような「町=コミュニティ」を作るべきなのでしょうか。

 伊東氏はこの問題について誰よりも深く考えていらっしゃるようです。氏が提案した「みんなの家」は様々な被災者が寄り集まって食卓を囲えるようなコミュニティ拠点となっています。内と外を二分するような発想から脱却しよう、というのが伊東豊雄氏の主張です。概ね同意します。この公演を踏まえて──氏の著書も読んだのですが──、3・11以降の、そして「これからの建築」についてあれこれを思いを巡らす夜です。

あの日からの建築 (集英社新書)

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