刺さる名曲 その1
”たとえばゆるい幸せがだらっと続いたとする
きっと悪い種が芽を出して
もう さよならなんだ”
―ソラニン ASIAN KUNG-FU GENERATION
この歌を批評するのは少しズルイかもしれない。なぜならば、「ソラニン」はこの歌詞の世界で完結しないからだ。宮崎あおい主演の映画「ソラニン」がバックボーンにあるからこそ深みが増す。
「だって先の見える人生なんてつまんないじゃん?」映画の主人公、種田のセリフだ。その後種田は死んでしまう。この歌を残して、芽衣子を残して。死の直前、その心中を語り「先が見える人生に絶望した」ことを明かす。そう、彼は絶望していたのだ。定職が決まり、彼女とも和解し、幸せな人生が「見え」たせいで「絶望」したのだ。
先が見えないから、人生は面白い。ワクワクする。自分の限界なんか知りたくない。どこまでも、どこまでも、どこまでも―走り続けたい。そうでありたい。そうでありたかった。先の見える人生に絶望した際に、刺さる一曲。