『風立ちぬ』の面白さを全く説明できない件
「風立ちぬ」を観てからというものこの作品のことが頭から離れず、スキアラバ「ひこうき雲」を口ずさみ、どうやら脳の髄まで堀越二郎たちに侵されているようなのです。
しかしながら、本作の魅力を誰かに伝えようと口を開けば、喉の奥からヒョーっと風が通り抜けるだけで言葉にはならず、ついには口を閉じてしまうのです。
なぜでしょう。こんなにも素晴らしいと、思っているのに、どこが面白かったのか、何に感動したのか、全く説明できないのです。
作品の演出やらストーリーやらが、まさに「夢」のようにフワフワしていて、「いやね、鳥みたいな飛行機に乗っかって飛んでる予告映像があるだろう?あれはね、本当じゃないんだよ」とか「それでさ、変な設計士とさ、夢がリンクしちゃうんだけど」とか本筋に関係あるかと思ったら特段関係ないみたいな、ふわっとした、部分も多く、話してるうちに「・・・あれ?何の話だっけ?」となってくる。
つまるところ、何も観ていない他者にストーリーと見どころを説明するのは極めて難しい。
自分でも、あの子のあの一言(中盤)で
グッ ときて
カッ となって
ブワッ
っときただけで、それが「何故」そう思わせたのか、言語化出来ない。
ただただ、潔い、格好いい、美しい、この3ワードが脳内をグルグルしているだけ。
それで十分な気もするし、大分足りない気がするしで、結局は口数は減る一方になるのです。
ここでちょっとネタバレするけど、僕は最後の、二郎と菜穂子やり取りで止めを刺された。こんな単純な台詞でヤラれるとは思わなかった。書き起こしてもなお、説明はつかず、ただあの時の鮮明な衝撃だけがリフレインし続けるのです。
「あなた、生きて」 「うん」
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