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それでも青春は続く

村上春樹の「風の歌を聴け」はサラダ油だという話

  村上春樹を読んだことははほとんどない。これでもか、というほど村上春樹の小説やそれに関連する書籍が本屋に並んでいるというのに、僕はたった三冊しか読んだことがない。そのうち二冊は上下巻で一作のものだから、実質二作しか知らないことになる。ひとつは古本屋で買った「ノルウェイの森」で、もう一つが「風の歌を聴け」だ。なぜノルウェイの森を読んだのかと聞かれれば「安かったから」とそっけなく言うことになるだろうけれど、風の歌を聴けについては、多少明確な理由が存在していたのだと思う。

 「風の歌を聴け」はサラダ油みたいな小説だ。サラダ油がどう作られるかはしらないが、ごま油やオリーブオイルよりはサラダ油に近いと思う。この小説について語る会の人たちの興味深い話では「青春小説なんかではなく、もっとドロドロした”裏の物語”が存在する」のだという。なるほど、つまり僕が感得したこのイメージは、”濾過された”ものなのだな、とこっそり納得してしまったのだった。

風の歌を聴け (講談社文庫)

風の歌を聴け (講談社文庫)